初演情報
優しい時空 2026
日時|2026年5月17日 会場|市民ギャラリー矢田 第一展示室
日本の寺院の鐘の響きは、「当たり・押し・送り」と呼ばれる三段階の推移によって成り立つ。この構造は、西洋音楽におけるアタック、エコー、レゾナンスの音響的な展開とも通じるものである。本作は、そうした音響の時間的変容に着想を得ている。
先行作品《アンプロンプチュ》では、ベートーヴェン《田園》交響曲の「嵐」にみられる自然エネルギーの推移を参照しながら、スラップタンギング、旋回する音型、トレモロ、キーノイズなどの音響オブジェの連鎖によって、その変化を描いた。《コンポジット》は、この《アンプロンプチュ》を出発点とし、電子音響を加えたミクスト作品として再構成したものである。
タイトルは、カンディンスキーの《インプロヴィゼーション》と《コンポジション》の関係に由来する。瞬間的な衝動や身振りとして現れる素材を出発点としながら、それらを内的必然性に従って組織化し、より大きな構造へと統合していく。楽器と電子音響は、アタック、エコー、レゾナンスの関係を拡張するように相互作用し、自然現象を想起させるエネルギーの流れを形成する。こうして本作は、《アンプロンプチュ》に内在していた音響的・身体的な衝動を、新たな次元へと展開する試みである。




