鶴崎のための弦楽四重奏曲、川瀬麻由美弦楽四重奏団、大分の音楽、平和市民公園能楽堂、大分市
松宮圭太:劔の四重奏~鶴崎劔八幡宮喧嘩祭りに寄せて
清水慶彦:人が死ねば、魂は山に登っていく―霊山山中他界譚
井財野友人:大在スクエア
藤枝守:“大楠の精霊”~植物文様第29集~
熊本陵平:明野考
川瀬麻由美(ヴァイオリン)、甲斐田柳子(ヴァイオリン)、今井凛(ヴィオラ)、田村朋弘(チェロ)
松宮圭太:劔の四重奏プログラム・ノート
「劔の四重奏」は鶴崎剱八幡宮春季大祭によせて制作した弦楽四重奏である。長らく行方不明だった宇佐神宮神宝の剣が発見されたことに因んで創建された剱八幡宮では創建以来360余年に渡って通称「けんか祭り」が行われてきており、丸太で作られた担ぎ山車には御神体に見立てた宝剣、榊葉、鈴が飾られ、かけ声勇ましく相手の山車に激突する様子を毎年春に拝むことができる。山車の上の太鼓奏者は、激突の衝撃で土台が垂直に傾いても演奏を止めること無く、怒号とともに演奏を一層ヒートアップさせていく。本作は、このような山車の上で行われるドラマに着想を得て作曲した。剣に見立てた弦楽器の弓による掛け合い、異なるリズムで対に組み合わされた奏者による掛け合い、榊の葉擦れ、鈴の音、掛け声に着想を得た様々な奏法と音色によって、この活気に溢れた鶴崎の御神事を描こうと試みた。