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染田真実子チェンバロリサイタル vol.4 はなだま 2023, 8/31 9/8

プログラム
久木山直 :Falling Water Flowing Flowers
(チェンバロソロ)委嘱作品

藤倉大 :Jack
(チェンバロソロ)委嘱作品

松宮圭太: One up
(ハイブリッドチェンバロ+エレクトロニクス)委嘱作品

Tristan -Patrice Challulau: Camarette fermentations…
(チェンバロ+リコーダー)日本初演

Kaija Saariaho :Jardin Secret II
(チェンバロ+エレクトロニクス)

主催 くらゔぃすぷろじぇくと
助成 公益財団法人野村財団
出演者
リコーダー 森本英希

エレクトロニクス 有馬純寿  松宮圭太

チェンバロ 染田真実子

販売期間
2023/3/5(日) 00:00 〜 2023/8/30(水) 20:00

連絡事項
※駐車場有り
駐車料金 無料  170台収容可能

※学生券の方は、受付で学生証の提示をお願いします。

※未就学児の入場はご遠慮ください。

お問い合わせ先
hanadamacembalo@gmail.com

Tokyo23立体音響&アートフェスティバル 2023/5/12, 5/13

グレゴワールの庭
「Tokyo23立体音響&アートフェスティバル」
日程:2023年5月12日(金)~ 13日(土)
会場:LAPIN ET HALOT(ラパン・エ・アロ)

参加芸術家::

招待作曲者:ステファン・ド・ジェランド

作曲者:松宮圭太、山﨑真采、片根柚子、tomozuin-h、川越好博、筒井香織

造形作家:水のさとし、福井郁子、橘智香子(会場コーディネート)

演奏者:モリス真登(フレンチバソン)、鈴木和美(フルート)、片根柚子(ギター)、西村薫(クラリネット)

演奏者(マスタークラスのための録音協力):今井貴子(フルート)、北嶋 愛季(チェロ)、石川陽子(チェンバロ)、野崎真弥(フラウトトラヴェルソ)、筒井香織(リコーダー、龍笛)、久野幹史(リュート)

会場に6個のスピーカーを設置し、演奏者にピックアップマイクを実装、立体的な音響プログラムによって実現する立体音響アートと、造形作家及び現代舞踏家等、多分野の芸術家とのコラボレーションにより、音楽とアートのフェスティバルを実現し、まるで音が目に見えるようなバーチャル空間でのコンサートを実現し、街角への音響インスタレーションを目指した新しい芸術の創造を行う。

多治見市防災無線「ここから」, 2023/4/1-4/30

・名称:多治見市同報系60MHz帯デジタル防災行政無線設備
・鳴動時期:2023年4月
・スピーカー:TOA防災用 レフレックス×2,ストレート×2
・マスト:エースマスト 緑塗装
・アンテナ:3素子八木
・制御ボックス:OKI デジタル
・識別名称:こうほうたじみ
・音量:並
・音質:やや良好
・無線/周波数:デジタル同報系
・鳴動時刻:18:00+3秒
・市を舞台にした約30分程の長編合唱組曲ができたことを記念し,周知目的として4/30までの期間限定で,オルゴール調のアレンジで鳴動




混声合唱、2台ピアノと打楽器、電子音響のための合唱組曲《土と炎》2023 1/29

《土と炎》は多治見市の詩人、伊藤芳博先生が書き下ろされた五篇の詩「故郷」「志野」「陶片」「織部」「ここから」を元に作曲した合唱のための組曲です。伊藤先生には詩に込められた言葉の意味や響きなどを教わりながら、詩を解釈し合唱曲として制作する中で様々な相談に乗っていただき、また厚かましいお願いや質問にも快く答えて下さいました。当初は組曲の予定になかった三つ目の詩「陶片」があることを教えて頂いた際には、「陶片」の存在によって他の詩が星座のように呼応し調和するのを感じたため、五曲から成る組曲として制作を進めたいと僕の方からお願いして現在の構成となりました。
委嘱を下さった多治見ロータリークラブの村手洋之会長には、楽曲の制作に当たって得難い体験、沢山の素敵な出会いを頂きました。加藤孝造先生の元でお話を伺い肌で感じた制作へのストイックな姿勢、ひんやりと張りつめた工房の空気と薪ストーブの匂い、仙太郎窯の安藤工先生に無茶を言って収録させて頂いた茶碗を割る音(もちろん元々割れているものを、ですよ)、土を練る音、陶片の軋む音、幸兵衛窯で多くの方のご尽力で録音させて頂いた窯出しの貫入音、窯から唸る炎の音、小田井商店の加藤誠社長に見せて頂いた磁器製作の行程、釉薬を擦る音、磁器を割り散らばる陶片の音(もちろん元々破棄予定のものを、ですよ)、多治見市モザイクタイルミュージアムのタイルの色彩と手触りと歴史、村手会長のご本職である魚関のうなぎ割烹、そして多治見橋のたもとから眺める土岐川と山と町の景色、などなど、まさに五感全体で美濃焼の町の集中講義を受けさせて頂き、そのすべてが心躍る音の記憶となって創作の活力となりました。そしてここには書ききれない多くの方々の支えと激励を頂き、楽曲を仕上げることができました。
五篇の合唱曲と五篇の電子音響と即興による前奏・間奏曲の154ページ28分の組曲に結集した《土と炎》は、ピアノ伴奏による子供のための同声二部合唱、大人のための混声四部合唱への編曲版の制作も含めて、まさに「ここから」歩み出します。
美濃焼の町を愛する多くの方々の想いを受けて制作する組曲《土と炎》が、この土地を愛する人々によって歌い継がれる曲に育ってくれることを祈っています。

初演
TAJIMI CHOIR JAPAN 第49回定期演奏会 「土と炎」
開催日
2023年 1月29日(日) 18:00開演(17:30開場)

会場
バロー文化ホール

混声合唱と2台ピアノ、打楽器のための組曲《土と炎》
作詩/伊藤芳博
作曲/松宮圭太

出演
指揮/柘植洋子
合唱/TAJIMI CHOIR JAPAN 多治見市少年少女合唱団とシニアコア
ピアノ/北住淳、古田友哉
打楽器/水間ゆみ
電子音響/松宮圭太

委嘱
多治見ロータリークラブ

https://www.tajimi-bunka.or.jp/bunka/event20230129.html

鍵盤三景

https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/events/view/1239/

ピアノ。白鍵52、黒鍵36をの計88を数え、広い音域と深い音楽性は多くの音楽家を惹きつけ続けています。「鍵盤三景」は、このピアノという楽器をベースに、アコースティック、プリペアド、エレクトロニクスといった方法で最先端のキーボード音楽の歴史、現在、そして未来を俯瞰しようとするものです。
今回の一連の演奏会は、2022年2月に行われた”Feldman meets freq”を前身としています。九州大学芸術工学部が誇る設備で、芸工内外の優れた作曲家、演奏家の音楽をお楽しみください。鍵盤の向こう側が新たに見えれば、とても嬉しいです。

第2回:「ハイパーピアノ:鍵盤を越えて」
日程:2022年10月30日(日)16時開演、15時半開場
演奏者:西岡怜那(ピアノ)、松宮圭太、芸工学生(電子)
曲目: ジョン・ケージ「Bacchanale」プリペアド・ピアノのための(1940年)
松宮圭太「したたり」ハイブリッドピアノのための (2019年)
Cassandra Miller「Philip the Wanderer」ピアノとページターナー(2013年)
ケージ「Music for Marcel Duchamp」プリペアド・ピアノのための(1947年)Jonathan Harvey「Tombeau de Messiaen」ピアノとテープのための(1994年)
Michael Pisaro「fields have ears (1)」ピアノとテープのための(2008年)

アフタートーク:西岡怜那、松宮圭太、城一裕、ゼミソン・ダリル

Art&Technology —AとTの呼応が世界の見方を変える—

http://steamlab.ed.oita-u.ac.jp/

本シンポジウムでは,STEAM教育のA(art)とT(technology)に注目します。前半は,大分県豊後高田市にある「不均質な自然と人の美術館」をプロデュースしたanno lab代表の藤岡定さん,楽器のハイブリッド化とミクスト音楽の今後を探る作曲家の松宮圭太さん,音を通した子どもの探索行動を研究している吉永早苗さんに話題提供をしていただきます。後半は,函館工業高等専門学校の下郡啓夫さんにコーディネートいただき,A(art)とT(technology)の呼応と世界の見方について議論を深めます。

●オンサイト会場:KATETE(カテテ)/大分市萩原2-1-23

会場はこちら

●シンポジスト

◯藤岡 定(ふじおか さだむ)氏
株式会社anno lab(あのラボ) 代表取締役 /アーティスト
テーマ:テクノロジーと芸術

◯松宮 圭太(まつみや けいた)氏
作曲家 /大分県立芸術文化短期大学 専任講師
テーマ:音楽制作における記録と記述の周辺

◯吉永 早苗(よしなが さなえ)氏
東京家政学院大学 副学長 /人間生活学研究科 教授
テーマ:「感じる・考える・表現する」子どもの世界

●コーディネーター

◯下郡 啓夫(しもごおり あきお)氏

函館工業高等専門学校 教授

●総合司会

◯清水慶彦(しみず よしひこ)

大分大学教育学部 准教授 /大分大学STEAM Lab.

●構成
◯開会の挨拶、趣旨説明(15分)
◯シンポジスト話題提供(20分×3名)
◯休憩(15分)
◯質疑応答・ディスカッション(50分)
◯まとめと閉会の挨拶(10分)

五月雨

作曲作品展2021

日 時:11月6日(土)16:30開演(15:30開場)
場所:大分県立芸術文化短期大学音楽ホール
予約・お問い合わせ:音楽科副手室 097-545-8758

プログラム
«Leucojum(レウコユム)» フルート、チェロ、ピアノ、打楽器のための(2021)
作曲:長谷場 一花 (はせば いちか)
フルート:佐熊 陽人 (さくま はると) チェロ:岡田 実夕 (おかだ みゆ) 打楽器:田島 大和 (たしま やまと) ピアノ:喜瀬 弘望 (きせ ひろみ)

« 雁 » ピアノのための(2021)
作曲:岡田 実夕 (おかだ みゆ)
ピアノ:森 うらら (もり うらら)

« 如々 » フルート、オーボエ、ファゴット、トロンボーン、コントラバスのための(2020)
作曲:岡田 実夕 (おかだ みゆ)
フルート:西岡 あゆな (にしおか あゆな) オーボエ:田中 絵梨香 (たなか えりか) ファゴット:川端 望未 (かわばた のぞみ) トロンボーン:髙橋 れみ (たかはし れみ) コントラバス:吉原 紗代 (よしはら さよ)

«Presto» ピアノのための(2013)    
作曲:芳賀 傑 (はが たかし)
ピアノ:伏木 唯 (ふしき ゆい)

« 豊(TOYO)» フルート、ファゴット、ピアノのための(2010)  
作曲:田村 洋彦 (たむら ひろひこ)
フルート:松井 あすか (まつい あすか) ファゴット:藤田 佳奈 (ふじた かな) ピアノ:風間 紀代華 (かざま きよか)

«五月雨» スネア・ドラムと電子音響のための(2021)     
作曲・電子音響:松宮 圭太 (まつみや けいた) 
スネア・ドラム:加来 隆志 (かく りゅうじ)

ボンクリ・フェス 2021 電子音響音楽《波立ち》

https://www.borncreativefestival.com

ボンクリ・フェス 2021
東京芸術劇場
10月2日土曜日11:00~19:00 (入退場自由)

松宮圭太 - 電子音響音楽《波立ち》

電子音楽の部屋
会場 : アトリエイースト、アトリエウエスト
アクースモニウム(電子音響音楽の演奏装置)奏者として活躍する檜垣智也がデザインした音響空間でミシェール・ボカノウスキーをメインコンポーザーとし、その他に網守将平や梅沢英樹、YOSHI WADAらの作品、さらに今回は若手の新作が目白押しです。

電子音響音楽演奏会Vol.3

https://www.oita-pjc.ac.jp/events/detail/899

日時:1月15日(金)18:00開演(17:30開場)
場所:大分県立芸術文化短期大学音楽ホール

曲目:
《鈴の音と神隠し》 作曲・演奏:有村 桃
《五》 作曲・演奏:入江 真依
《combination》 作曲・演奏:藤崎 未唯
《嘆息》 作曲・演奏:森 うらら
《始まり》 作曲・演奏:長谷場 一花
《なんとなく詩美と言ったような味覚の漂い》 作曲・演奏:木寺 潤一
《迷走》 作曲・演奏:西垣 佳音
《溺れる夢》 作曲・演奏:内田 樹
《B.A.B.U.N.》 作曲・演奏:岡田 実夕
《妖精の戯れ》 作曲・演奏:山本 雪美
《C’est bon》 作曲・演奏:佐々木 優実
《水中の橋》ハイブリッドヴァイオリンのための 作曲:松宮 圭太 教員 演奏:川瀬 麻由美 教員

Duoの試み| Saxophone 井上ハルカ ✖︎ Percussion 西岡まり子

【京都公演】
2021年1月16日(土)18:30開演(18:00開場)
京都芸術センター 2F 講堂 〒604-8156 京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町 546-2
アクセス
地下鉄烏丸線「四条駅」、阪急京都線「烏丸駅」22・24番出口より徒歩5分。

【東京公演】
2021年1月22日(金)18:00開演(17:30開場)
東京コンサーツラボ 〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18
アクセス
東京メトロ東西線「早稲田駅」下車徒歩6分(2・3b出口より穴八幡神社方面へ)
東京メトロ副都心線「西早稲田駅」下車徒歩10分(2番出口)

 <Program>

・Luis Naon / ALTO VOLTANGO (2001)
・Simon Steen-Andersen / Study (1998)
・Philippe Leroux / AIRS (1992)
・Astor Piazzolla / タンゴの歴史 (1982)
・Gene Koshinski / Get it ! (2011)
・松宮圭太 / dialogos pour saxophone baryton (2010)
・山本和智 / 打楽器独奏の為の『微笑する密度』(2017)

2020/11/7 音楽総合コース作曲作品展

日 時:11月7日(土)16:30開演(15:30開場)

場所:大分県立芸術文化短期大学音楽ホール

(短大一年)長谷場 一花
«風見鶏» ヴァイオリンとピアノのための(2020)
演奏: 椛田 翔允 (ヴァイオリン), 森 うらら(ピアノ)

(短大二年)山本 雪美
«水に映る月, 湖を照らす光» トランペットとピアノのための(2020)
演奏:西垣 佳音 (トランペット,フリューゲルホルン), 伊藤 幸恵 (ピアノ)

(短大二年)岡田 実夕
«セピア調ペンヂュラム» ヴァイオリン,チェロとピアノのための(2020)
演奏:坂本 早百合 (ヴァイオリン),河野 里菜 (チェロ), 梶原 夕加 (ピアノ)

(短大二年)内田 樹
«サーカス» 混声合唱とピアノのための(2020)
演奏:塚元 由菜, 牧 ひなた, 佐々木 優実, 杉尾 朋萌絵
原山 悠,増田 大和, 髙倉 群, 伊藤 輝 (合唱)
赤峰 亜美 (ピアノ), 松宮 圭太 (指揮)

(教員)松宮 圭太
«水中の橋» ヴァイオリンと電子音響のための(2020)
演奏:川瀬 麻由美 (ヴァイオリン), 松宮 圭太(電子音響)

ニューヨーク : ミニマリズムの様相

フィリップ・グラス チェンバロ協奏曲

チェンバロ : 辛島明美
クラリネット : 佐藤三保、後藤花保、松林紗代、山口えつ子
編曲・指揮 : 松宮圭太

@大分市美術館, 2020年1月26日
大分市市民協働推進課 企画

電子音響音楽演奏会 vol.2

電子音響音楽演奏会 vol.2
2020.1.17 ( 金 ) 開演 18:00 / 開場 17:30
大分県立芸術文化短期大学 音楽ホール棟 音楽ホール

内田樹 / 陶器から広がる (2020) 短大1年 電子音響音楽作品
岡田実夕 / P.A.F.U.N. (2020) 短大1年 電子音響音楽作品
末下玲音 / 眠り (2020) 短大2年 電子音響音楽作品
松宮圭太 / したたり (2019) 教員 ミクスト音楽作品
Luc Ferrari / Etude aux accidents (1958) 電子音響音楽作品
Luc Ferrari / Etude aux sons tendus (1958) 電子音響音楽作品
Christian Zanési / Arkheion, les voix de Pierre Schaeffer (1996) 電子音響音楽作品

ピアノ : 宮崎由紀子
アクースモニウム : 渡邊裕美
主催 : 大分県立芸術文化短期大学 音楽科 音楽総合コース

2019/12/3 現音 Music of Our Time 2019

ペガサス・コンサート Series Vol.I
染田真実子 「たゆたう真珠」

2019/12/3 (火) 18:30開場 19:00開演

(1)金子仁美 : 歯車 ギリシャ民謡によるA (2006)
(2)増本伎共子 : 日々の移ろい (2018)
(3)ジャン=パトリック・ブザングラン : 逃げる影 (2019) 初演
(4)金子仁美 : 歯車 ギリシャ民謡によるB (2006)
(5)ジャイルズ・ファーナビー : ジャイルズ・ファーナビーの夢、おもちゃ
(6)向井響 : 美少女革命:転生 (2019) 初演
(7)ジェルジュ・リゲティ : ハンガリー風パッサカリア (1978)
(8)ジャン=アンリ・ダングルベール : プレリュード ト短調 (1689)
(9)松宮圭太 : ダングルベール讃 (2011/2019)日本初演

(1)-(6)平均律 (7)中全音律 (8)キルンベルガー調律
(9)中全音律・キルンベルガー調律 (6)(9)クラヴサン+エレクトロニクス

染田真実子(クラヴサン)
島村幸宏(エレクトロニクス)


松宮圭太 : ダングルベール讃 – クラヴサンと電子音響のための (2011, 2019)

 2011年にこの作品を制作した際、クラヴサン音楽へのアプローチのヒントとしてまず関心を持ったのが中期バロック音楽においてジャン=アンリ・ダングルベール(1629 – 1691)が行った様々な装飾法の分類であり、その方法に触発されて装飾や音型を整理するところから始めた。そしてこの楽器にはダンパーペダルが存在せず、残響、ダイナミクス等の調整をそれによって行う機能がないという物理的制限が、却って古典作品の装飾法における創意に気づかせてくれることとなった。次に調律法に関心を寄せ、中全音律とキルンベルガー調律を敢えて同時に用いることにより、微分音音程を含む新たな音階および、音色と音の震えの混合体としてのビスビリャンド・トリルを獲得するに至った。ミクスト音楽としての電子音響へのアプローチにおいては、器楽と親しい音楽書法を模索し、双方のインタラクションによって音楽を構築する発想を得て作曲した。
 その後、パリ音楽院楽曲分析クラスで行ったフランスの鍵盤音楽史における鐘の音の表象の研究、振動現象に関心を抱き続ける作曲家ミカエル・レヴィナスの元で助手として数年間実地で携わった様々な作品制作、カサ・デ・ヴェラスケスでのアーティスト・イン・レジデンスにおいて鐘の音響をテーマに制作したギター小協奏曲などの経験を経て、今回、本作品を改作することとなったが、振動現象における音階と音色の狭間の響きへの関心、楽器演奏と電気的な振動装置から発せられる音響の構築、そしてその音楽表現上の融合状態の模索という現在の研究テーマが、本作品を最初に制作した当時の関心の延長上にあることを改めて確認した。
 電子音響に関しては、中期バロック音楽においてクラヴサンの発音機構における制限から発展した装飾法と、初期ゲーム音楽においてPSG音源における同時発音数の制限から発展した波形とパルスによる音楽表現をなぞらえた音楽書法を模索し、ミクスト音楽としては、クラヴサンの二段鍵盤における二種の調律法、装飾法とPSG音源、楽器演奏と電気的振動といった異なるシステムの境界において生じる音色と音の震えの混合体としての音楽表現を試みた。
(文 松宮圭太)

松宮圭太 Keita Matsumiya (1980 -)

 作曲家。愛知県立芸術大学音楽学部作曲専攻(音楽学)卒業。東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。ロームミュージックファンデーション、メイヤー財団の両助成を得て2011年パリ国立高等音楽院作曲科第1高等課程(作曲学士)を首席で修了、2013年同科第2高等課程(作曲修士)、2016年同楽曲分析クラスを修了。2011/12年IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)作曲研究課程を経て、アンサンブル・ルガールの創設者・所属作曲家としてパリを中心に音楽活動を行いながら、ミカエル・レヴィナスのアシスタントとして複数のオペラの制作に携わる。2016/17年、フランス政府、国民教育省の派遣によりマドリードのカサ・デ・ヴェラスケスにてレジデント・コンポーザー。愛知県立芸術大学大学院非常勤講師を経て、2018年より大分県立芸術文化短期大学専任講師。
 情報と即興への関心から、作曲制作における音響オブジェ、数理モデル、身体の理の相互協調を模索する。2010年第8回武生作曲賞受賞、2015年第8回デステロス作曲コンクール・ミクスト作品部門佳作(1位空位3位)。フランス学士院および芸術アカデミーの指名により2016/17年第87代在マドリード・フランス・アカデミー芸術会員。クラングシュプーレン音楽祭(シュヴァーツ)から委嘱を受ける他、フランス国立ロレーヌ管弦楽団、アンサンブルTIMF、アンサンブル・ソニド・エクストレモ、カメラータ・ストラヴァガンツァ、ムジカ・ユニヴェルサリ、アンサンブル・ルガール、パリ音楽院卒業生オーケストラなどによって作品が演奏され、ミクスチュール音楽祭(バルセロナ)、アルス・ムジカ音楽祭(ブリュッセル)、サントル・アカント(メッス)、ブルターニュ国際サクソフォンアカデミー、統営国際音楽祭(トンヨン)、武生国際音楽祭、トーキョーワンダーサイトなどで作品が取り上げられる。創作は多岐に渡り「ギター小協奏曲」(ソフィア王妃芸術センター2017)、ハイブリッド・ヴィオラのための「奇想曲」(アルス・ムジカ、ブリュッセル2015)、舞台音楽「阿修羅」(大駱駝艦・壺中天2015)など。

2019/11/2 芸短フェスタ音楽総合コース作曲作品展

(短大一年) 内田樹 「決闘の刻」ホルン、ヴァイオリン、ピアノのための(2019)
演奏 : 井上里緒奈(ホルン)、友松夕希美(ヴァイオリン)、梶原夕加(ピアノ)

(短大一年) 岡田実夕 「阿吽」二台ピアノのための(2019)初演
演奏 : 風間紀代華、橋本麻里愛

(短大一年) 山本雪美 「To the next seed」サクソフォン五重奏のための(2019)初演
演奏 : 久保大成、大塚ユリア、岩本梨花、坂本奈津美、徳永暁

(短大二年) 甲斐田有里 「万華鏡」クラリネットとピアノのための(2018)初演
演奏 : 福井若菜(クラリネット)、柳瀬絢日(ピアノ)

(短大二年) 柳瀬絢日 「マスカレード」四手のピアノのための(2019)初演
演奏 : 田村捺実、村上奈菜

(卒業生) 江幡侑奈 「センイ」合唱と映像のための(2019)初演
演奏 : 江口まゆ、尾郷夏美、酒井陽菜、山下千華、古谷昴、松本利則、髙倉群、吉野心悟(合唱)、柚木崎葵(ピアノ)

(教員) 松宮圭太
「魔法陣」ピアノのための(2018)日本初演
演奏 : 喜多宏丞

2019/8/17 里の音コンサート2019北住淳ピアノコンサート

バッハ: フランス組曲第5番ト長調, BWV 816
シューマン:ノヴェレッテ第8番
ドビュッシー:喜びの島
松宮圭太: したたり

北住淳 (ピアノ)
松宮圭太 (電子音響)

会場 : TANEKURA HOUSE
主催 : 飛騨市
後援 : 飛騨市教育委員会
企画 : 愛知県立芸術大学美術学部彫刻専攻神田研究室

2019/7/18 ピアノ・マリンバ音楽の現在

田中翼 : 細胞錬金術 (2017 ピアノソロ)
フィリップ・ユレル : LoopsIV (2005 マリンバソロ)
一柳慧 : パガニーニ・パーソナル (1982 マリンバ×ピアノ)
田中翼 : Etude in Interval Scale{5,6,7} (2013/2019 マリンバ編曲)
松宮圭太 : したたり (2019 ピアノと電子音響のための)

ピアノ 宮崎由紀子
マリンバ 島田亜希子

主催 : 北九州音楽協会30周年記念音楽祭
場所 : 黒崎ひびしんホール、北九州市


松宮圭太 : したたり – ピアノと電子音響のための

IRCAMでの作曲研修、アンサンブル・ルガールでの活動から研究を勧めていたハイブリッド楽器の継続研究として、大分県立芸術文化短期大学特別研究費を得て2018年4月より制作を行い、北九州音楽協会30周年記念演奏会に向けて制作した。大分県竹田市のフィールドレコーディングで得られた水のせせらぎのオーケストレーションとして制作されたミクスト音楽であり、振動スピーカーを用いてピアノの響板を振動させピックアップマイクを通じて変調されるライブエレクトロニクス作品であり、かつピアノと電子音響の演奏による室内楽作品である。作品制作を通じて、古来より西洋音楽において行われてきた「記述」という形態と20世紀半でから発展してきた「録音」という形態による異なる作曲法の双方の利点を取り込んだ音楽表現への希求としてのハイブリッド楽器の可能性を探った。

2019/5/27 大分県立芸術文化短期大学音楽ホールこけら落としコンサート

森口真司(指揮)、大分県立芸術文化短期大学音楽ホールこけら落としコンサート、大分市

『豊の国のためのファンファーレ』 作曲 : 松宮圭太 (まつみや けいた)
本学に赴任する以前、私はパリとマドリードにおいて教会の鐘や水の音などの音響解析とその作曲への応用を研究してきました。『豊の国のためのファンファーレ』の作曲にあたっては、竹田市にキリシタンの遺物として伝わるサンチャゴの鐘の録音や、大分県の豊かな自然が育んだ各地の河川のフィールドレコーディングを通じて得られた音響を元にして、金管楽器、ティンパニ、チューブラーベルのハーモニーを構成しています。そして大分の土地に根ざし、この地の深く豊かな歴史と文化を紡いできた人々の力強さに思いを馳せて打楽器のリズムを構成し、作曲しました。(松宮圭太)

『大学祝典序曲』 作曲 : ヨハネス・ブラームス
1879年にブレスラウ大学から名誉博士号を受けたブラームスは返礼として本作を作曲した。1881年にブレスラウ大学の集会において、ブレスラウのオーケストラ協会を作曲者自身が指揮して初演した。ハ短調のアレグロで始まるこの曲は「我らは立派な校舎を建てた」「国の親」「新入生の歌」「だから愉快にやろうじゃないか」の4つの学生歌とブラームスの手による主題が掛け合うように作られている。(松宮)

『花』 作詞 : 武島羽衣 作曲 : 瀧廉太郎 編曲 : 甲斐田有里(かいだ ありさ)
この曲は瀧廉太郎(たき・れんたろう)の歌曲の中でも広く親しまれている曲のひとつです。速いテンポの二部形式で書かれ、当時盛んであった漕艇の様子など、朝・昼・夕・夜とそれぞれの時間帯における隅田川の光景が歌詞の中に描かれています。昼は水上の人の営みに、朝と夕は川辺の木々と太陽に、夜は空に浮かぶ月と月が浮かび上がらせる空間にスポットを当ててそれぞれの趣を魅力的に見せていますが、これらは瀧廉太郎や武島羽衣(たけしま・はごろも)が見ていた日常の光景であります。この編曲では、そういった明治の人々が見た、活気のある風景と樹木の持つ生命力を表現しようと試みました。(甲斐田有里)

『荒城の月』 作詞 : 土井晩翠(どい ばんすい)作曲 : 瀧廉太郎 編曲 : 柳瀬絢日(やなせ あやか)
この曲は、日本を代表する作曲家である瀧廉太郎(たき・れんたろう)が、少年時代を過ごした竹田にある岡城を思い作ったと言われている曲です。この編曲では、彼の作った無伴奏の歌曲に、彼の死後山田耕筰(やまだ・こうさく)がピアノ伴奏をつけたものを参考にしています。月の光る夜、荒れ果てた城を見て栄枯の移り変わりを嘆く歌詞に合わせ、その様子を表せるようラストに向けてスケールの広がりを表現しました。明治時代、23歳という若さで亡くなった瀧廉太郎の曲が、今彼のゆかりの地大分で演奏されることを嬉しく思います。(柳瀬絢日)

『早春賦』 作詞 : 吉丸一昌 作曲 : 中田章(なかた あきら) 編曲 : 江幡侑奈(えばた ゆきな)
この曲は、作詞者の吉丸一昌(よしまる・かずまさ)が長野県安曇野を訪れた際に歌ったものとされています。長い冬の生活を余儀なくされている人々にとって、春の到来の兆しを発見したときの歓びは格別なものです。しかし作中の、春の美しい情景が思い浮かぶ色鮮やかな歌詞とは相反して、現実では鶯は鳴いておらず、空は雪模様で、本格的な春を待ち望んでいます。この編曲では、そういった風景に溶け込む心の機微を表現しようと試みました。吉丸一昌が賦した早春の風情が、彼の故郷である大分に奏しますことをお祈り申し上げます。(江幡侑奈)

『大学賛歌「思いを熱く」』 作詞 : 首藤三郎 作曲 : 野崎哲 編曲 : 河野敦朗(こうの あつろう)
『大学賛歌「思いを熱く」』は、大分市出身の詩人で大分県詩人協会会長も務めた首藤三郎(すどう・さぶろう)が本学の未来の発展を祈念して詩を作り、作曲家で本学学長を務めた野崎哲(のざき・さとし)が詩に合わせて作曲した大学賛歌である。大分県立芸術短期大学二十周年記念において公表されて以来、今日に至るまで在学生と卒業生によって歌い継がれている。管弦楽編曲は作曲家で本学名誉教授の河野敦朗の手による。(宮本修 みやもと・おさむ)

『威風堂々』 作曲 : エドワード・ウィリアム・エルガー
管弦楽のための行進曲集の第一番『威風堂々』は1901年に作曲され、同年リヴァプールにてアルフレッド・ロードウォルドの指揮によって初演され、エルガーの友人でもあったロードウォルドとリヴァプールの管弦楽団に捧げられた。エルガーは後に歌詞をつけて1902年のエドワード7世の戴冠式のための『戴冠式頌歌』第6番「希望と栄光の国」にこの中間部の旋律を用いた。本日は歌詞付きを演奏する。(遠藤信一 えんどう・しんいち)

2019/2/19 劔の四重奏

鶴崎のための弦楽四重奏曲、川瀬麻由美弦楽四重奏団、大分の音楽、平和市民公園能楽堂、大分市

松宮圭太:劔の四重奏~鶴崎劔八幡宮喧嘩祭りに寄せて
清水慶彦:人が死ねば、魂は山に登っていく―霊山山中他界譚
井財野友人:大在スクエア
藤枝守:“大楠の精霊”~植物文様第29集~
熊本陵平:明野考

川瀬麻由美(ヴァイオリン)、甲斐田柳子(ヴァイオリン)、今井凛(ヴィオラ)、田村朋弘(チェロ)

松宮圭太:劔の四重奏プログラム・ノート

「劔の四重奏」は鶴崎剱八幡宮春季大祭によせて制作した弦楽四重奏である。長らく行方不明だった宇佐神宮神宝の剣が発見されたことに因んで創建された剱八幡宮では創建以来360余年に渡って通称「けんか祭り」が行われてきており、丸太で作られた担ぎ山車には御神体に見立てた宝剣、榊葉、鈴が飾られ、かけ声勇ましく相手の山車に激突する様子を毎年春に拝むことができる。山車の上の太鼓奏者は、激突の衝撃で土台が垂直に傾いても演奏を止めること無く、怒号とともに演奏を一層ヒートアップさせていく。本作は、このような山車の上で行われるドラマに着想を得て作曲した。剣に見立てた弦楽器の弓による掛け合い、異なるリズムで対に組み合わされた奏者による掛け合い、榊の葉擦れ、鈴の音、掛け声に着想を得た様々な奏法と音色によって、この活気に溢れた鶴崎の御神事を描こうと試みた。

2018/3/10 魔法陣

魔法陣 Pentacle ピアノのための (2018)

ペンタクル、マントラ、曼荼羅。文様から生まれる魔法は、洋の東西を問わず人を魅了してきた。西洋魔術にある魔法円には、描いた文様の中と外を遮断し、悪魔から身を守ったり文様の内側に悪魔を拘束する役割があるそうだ。一方、魔法陣 (戦いの陣形を取りつつ悪魔を召喚する 文様) は、漫画家の水木しげるが作品「悪魔くん」で考案したものだそうで、僕が好きな漫画、衛藤ヒロユキの作品「魔法陣グルグル」ではさらに、滑るように踊って文様を描くという発想が加えられている。滑って踊って文様を描く競技といえばフィギュアスケートである。日本の羽生結弦選手が平昌オリンピックで金メダルを獲得したばかりだが、ダンスによって氷に描かれる様々な文様とその運動性は、まさに魔法の様に人を魅了する(奇しくも、羽生氏のプログラムは陰陽師の 安倍晴明であった)。フィギュアスケートの魔法は図形を正確に描くコンパルソリーという地味な訓練によって支えられている。ピアニズムの魔法が楽譜の記号を正確に追うソルフェージュによっ て支えられているように。さて、オルレアン国際ピアノコンクールに参加する友人、安田結衣子選手の依頼で制作したピアノのための作品「魔法陣」は、ピアニストが演奏によって「滑って踊って文様を描くこと」を意図した作曲的アプローチである。音響の内側から音形が立ち上がる入れ子構造と、間断なく回帰を続ける循環形式を意識し、記譜した文様の閉じた系から響きの召喚魔法という開いた系を作ろうと試みた。安田氏がこのペンタクルからどんな悪魔を召喚して聴衆を魅了してくれるか期待している。 (2018年2月17日、パリ)