デヴィアシオン

ファゴットとギターのための5つの小品 (2014) 17’30”

1. 前奏曲 – 3’40”
2. ガヴォット – 1’50”
4. メヌエット – 3’20”
3. 間奏曲 – 3’30”
5. テクノ – 5’10”

デヴィアシオンは中川日出鷹氏の委嘱によって制作したファゴットとギターのためのデュオ作品で、5つの小品から成る組曲である。
フランス語のデヴィアシオンという単語は日本語の迂回という言葉に近く、何かを経由しながら目的に達するような発想のもの、たとえばバイパス道路のことを指したり、格闘技のかけ技(コンボ)やチェスの威嚇の一手、または倒錯的趣味といった意味合いまで含まれる。
前奏曲、ガヴォット、メヌエット、間奏曲、テクノから成る本作品では、核となるモチーフを前奏曲と間奏曲において水平的な移ろいによって表現し、両曲の対となるガヴォットとスケルツォにおいては垂直的、回帰的パルスによって発展させている。両方の特徴を集約させる終曲として、本来はトッカータが置かれる所に、現代の舞曲であるテクノを置いた。

(プログラムノートより)

初演 : 中川日出鷹ファゴットリサイタル 2015年1月17日, 15時 @京都・青山音楽記念館バロックザール

ファゴット : 中川日出鷹
ギター : 山田岳

波立ち


 

ラ・ポルト・ウヴェルト

詩と音楽による創造

2014年9月20日パリ・ビエット教会

18時30分開演, 教会にて

11時より回廊にて松宮圭太, 波立ちサウンドインスタレーション (技術協力:渡邊裕美

チケット無料

文化遺産の日

パリ・ビエット教会,
住所 : 24 rue des Archives 75004 Paris

アクセス : メトロ1, メトロ11 オテル・ド・ヴィル駅 / バス75番線

4人の作曲家と詩人によるコラボレーション

ヴァンサン・トロレ / ガブリエル・アルタン : リヴァイヴァル – ソプラノ、クラリネットとチェロのための

カルロス・デ・カステルラノー / エテル・アドナン : タマルパス – ソプラノ、クラリネット、チェロと電子音響のための

グレゴワール・ロリユー /リヨネル・ユングアレグレ : 空の向こう – 四人の声楽と電子音響のための

松宮圭太 /リヨネル・ユングアレグレ, ガブリエル・アルタン : 波立ち – 電子音響のための

イレーヌ・ルコック(ヴァイオリン), ゼノ・ビアヌ(朗読)による即興演奏

アンサンブル・ルガール

指揮 : ジュリアン・ベネト

音楽と詩協会、アンサンブル・ルガール共同主催

パリ・ビエット教会協賛

カタロニア政府協賛(カルロス・デ・カステルラノー作品)

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ラ・ポルト・ウーヴェルト

2014年9月20日、文化遺産の日にパリのビエット教会でアンサンブル・ルガールmusique et poésieの共同主催によるイベントが行われました。詩人と作曲家がタッグを組んで新作を作る、コラボレーションを意図した企画です。僕は二人の詩人から朗読を録音し、それを素材としたインスタレーションを展示しました。夜の演奏会では、同じアイディアから電子音響音楽のバージョン、「波立ち」を発表しました。

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Montage-Eglise

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RME Babyfaceをスタンドアローン・モードでマイクプリアンプとして使う

RMEのBabyfaceをPCにもipadにも繋がずに、スタンドアローン・モードで高音質のマイクプリアンプとして用いる方法を紹介します。僕が行った作業は以下のとおりです。

1. まずはPCにBabyfaceを繋げた状態でファームウェアを2.0以上にアップデートしておきます。 http://www.synthax.jp/drivers.html

2. line outの1と2 (XLR)からパワードスピーカー等に繋ぎます。スピーカー側の電源はまだ切っておきましょう。

3. PCからusbケーブルを外し、iphone等のusb/DCコネクタに差してACから直接電源を供給します。当方フランス在住なので電源タップの形状が違いますが、100V-240Vから5V、1Aに変換するAC/DCアダプタであれば日本でも世界中どこでも同じことです。

4. 1本のオプティカルケーブルでBabyfaceのoptical in とoutをループするように繋ぎます。黒色が入力、灰色が出力です。

Toslinkの角型ケーブルを使います。

これでbabyfaceのADコンバータ、DAコンバータの両機能がリンクされ、デジタルを介したline in / outの回路ができました。

次に、ADサンプリング周波数を設定します。

5. Selectボタンでoutを選択し、丸いボタンを長押しすると、左メーターの緑LEDが常燈します。

丸いボタンを一度離し、時計回りに回して、下から数えて7番目のLEDを選択すると、サンプリング周波数を192kHzに設定できます。もう一度丸いボタンを押して決定します。

ADサンプリング周波数と緑LEDの対応関係は、1番下のランプを1とすると、

7: 192 kHz

6: 176.4 kHz

5: 96 kHz

4: 88.2 kHz

3: 48 kHz

2: 44.1 kHz

1: AutoSync

このように配置されており、好みでレートをスイッチできます。今回のようにマイクプリアンプとして使う場合、出力も入力もBabyfaceで完結しているので、最大レートの192 kHzで問題ありません。結線がループしているので、ADサンプリングを決定するとDAサンプリング周波数はsyncで自動的に設定されます。

次に、上記のOptical接続を、マルチチャンネルのAdatではなく、ステレオのSPDF信号として認識させます。

6. Selectでphoneを選択した状態から丸ボタンを長押しし、左ではなく右のメーターが急上昇するのが確認できればOKです。左が上昇した場合、もう一度長押しすれば、今度は右のメーターが上がるはずです。

以上で内部の回路が準備出来たので、コンデンサマイクを接続します。写真はRoadのNT5が2本です。もちろん一本のマイクだけ使うこともできます。

7. マイクをステレオで使う場合、Selectでinを選択し、丸いボタンを3回クリックします。そうすると、左右の両メーターに緑LEDが点滅し、line inの1、2チャンネルが選択されます。モノラルの場合は1回クリックで左のメーターだけが点滅します。

メーターが点滅、選択された状態で丸いボタンを長押しすると、選択したチャンネルのメーターの根本にオレンジ色の光が付きます。これでファンタムがオンになりました。再び短く丸いボタンを押すと、line in の設定が完了します。(ファンタムをオフにする際はチャンネルを選択し、オレンジ色の光が消えるまで長押しします。)

これで、コンデンサマイクと、ファンタム・オン状態のマイクプリアンプと化したBabyfaceの準備が整いました。スピーカーの電源を入れ、selectでoutを選択し、丸ボタンを回して出力ボリュームを調整しながら、コンデンサマイクの集音状況をモニタし、動作チェックして下さい。勿論、line outとは別にヘッドフォンで音をモニタリングすることもできます。作業を終了する際には、まずファンタムを切ってスピーカーを落とした上で、Babyfaceのusb電源を抜きましょう。電源が落ちるとデジタルの回路設定(5、6で行ったステップ)が自動で保存されるので、同じ目的で次にスタンドアローンで立ち上げた際に、再度設定する必要はありません。

また、フィールドレコーダーと共に屋外録音用途のポータブル・マイクプリアンプとしてBabyfaceを使用する場合、cheero Power Plus 2などの大容量モバイルバッテリーに接続して動作できるようです。5V1Aの電流が必要なため、バッテリーによってはUSBのY字ケーブルで電流を増強する必要があるようですが、スタンドアローン・モードではファンタム・オン状態で上手く動作しているようです。

参考: http://www.rme-audio.de/forum/viewtopic.php?id=17718

次回はその辺についてもう少し触れられればと思います。以上、RMEのBabyfaceをPCにもipadにも繋がずに、スタンドアローンモードでマイクプリアンプとして使う方法でした!

謡いと十三弦箏のための「いろは唄」レコーディング

本日、拙作の謡いと箏のための「いろは唄」の録音がありました。演奏はパリと東京を行き来される邦楽演奏家の日原史絵さんで、録音は2014年夏にフランスのAir Mail Musicレーベルよりリリース予定です。

本作品のオリジナルは声楽家の盛田麻央さんのために書き、パリ国立高等音楽院の声楽修了演奏会で盛田さんと日原さんによって初演されたソプラノと箏のための作品で、その後、韓国の統営国際音楽祭など世界各地で再演されていますが、今回の録音は、日原さんのために箏弾き歌いのために編曲したバージョンで、こちらは日原さんによってトーキョーワンダーサイトなどで演奏されています。

場所はパリ9区のとある地下カーブ(貯蔵庫)を改造して作られたプライベートスタジオ。完全防音ではないため、地上の騒音が少ない深夜に集まっての録音でした。

深夜とはいえメトロの鈍い振動が時々響いてきましたが、録音技師のシャルルさんによると、これぐらいならローカット対応で全く問題ないとのこと。

シャルルさんは御年70歳で、かれこれ40年以上、世界を旅して民族音楽を録音、収集して来られた大ベテランです。ヘッドホンはAKGのK501を使っておられました。

彼が他にどんな機材を使っているのかチェックさせて頂きました。

録音機は僕も何かとお世話になっているSony PCM D-50

マイクプリは20年来使っているというフランスのE.A.A. PSP-2

マイクはSennheiser MKH 40-P48が2本。アマゾンの奥地でも使ったらしいです。

​コンパクト、ポータブルながら拘りを感じる機材セレクトでした。

同じく自作品の録音のために駆けつけられた山本和智さんは、直接日本からの参加でした。

先月東京の本番であまりお話できなかったので、パリで邂逅。

録音後の記念撮影。

フォトン・エミッション

テナーサックスと電子音響のための (2013)


 

[プログラム]
夏田昌和:東洋の神聖な踊りと世俗的な踊り -サックスと打楽器の為の;エレクトロニクス版-(日本初演、エレクトロニクス版世界初演)
松宮圭太:フォトン・エミッション サックスと電子音響の為の(世界初演)
渡邊裕美 × 安井寛絵:ライブエレクトロニクスを使用した即興演奏
ホワン・アロヨ:シクリ1 -マウスピース無しのテナーサックスとエレクトロニクスの為の-(日本初演)
ピエール・ジョドロフスキ:ミクション テナーサクソフォンと電子音響のための

[出演・トーク]
安井寛絵(サックス)
渡邊裕美(電子音響リアリゼーション)
松宮圭太(作曲)

主催:財団法人東京都歴史文化財団 トーキョーワンダーサイト
後援:東京ドイツ文化センター、ポーランド広報文化センター、日仏現代音楽協会
助成:ソシエテ・ジェネラル

詳細情報:http://www.tokyo-ws.org/archive/2013/10/post-145.shtml

沈黙・刹那・回帰

ピアノのための (2013)

初演 : 2013年9月23日, (公財)青山財団助成公演 安田結衣子ピアノ・リサイタル
@京都・青山音楽記念館バロックザール , 京都市西京区

ピアノのための『沈黙・刹那・回帰』は、永劫回帰に想いを巡らせて制作したリチェルカーレである。はたして「賽は投げられた」のか、「神は賽を振らない」のか。

仏教の世界観で親に先立つ子が行くとされる賽の河原。そこでは、逝った子供がケアンの塔を築けた際に成仏が叶うという。だが、鬼がやってきては塔を破壊し、何度塔を築こうとしてもそれを繰り返すことになるという。ギリシャ神話にも、ゼウスを欺いた罰としてシーシュポスがタルタロス山で岩を押し上げ続けるというエピソードがある。山頂まであと少しというところで岩が転がり落ち、その苦行が永劫に繰り返されるという。

一方、熱力学的視点では、エントロピーの法則によって世界は常に拡散し多様化していくので、類似の状況が再現されることがあってもまったく同じであることはないという。またカオス理論では、単純な規則性で表現されることが結果として予測が非常に難しくなることがあるといい、量子論では、不確定原理によってミクロな領域の粒子の位置と運動量は正確には決められないという。

ソリトン

室内オーケストラと電子音響のための (2013)
(1(picc)-1(ca)-1(bcl)-1(cb) / 1-1-1-0 / 2 percussions-piano-harp-electric keyboad / 2-2-2-2-1)

この作品のインスピレーションとなったのはソリトンという波の自然現象である。水面で発生したソリトンは、その大きさも形も変えることなく動き続け、防波堤やプールサイドの果てにたどり着くまでよどみなく波紋を描き続ける。2つの異なる波が近くにあった場合、普通は互いに干渉しあって波の形を崩してしまうところ、ソリトンの場合はお互いにすり抜けることで振動を弱め合うことがない。光を照り返しつつ、対になった波が水の果てまで寄り添い進んでいく様に惹かれ、作品では2群に分けた室内オーケストラと電子音響によって音楽を形にするというアイディアに至った。扇形に左右に置かれた音の源から様々な音楽のオブジェが湧き出て、音波の軌跡を描き合って音楽を前へと進めていく、そんなイメージで制作を進めた。作曲する上では、騒音と楽音というそれ自体が曖昧な区分けに対して、互いの間を波の振動のように行ったり来たりするものとして捉えた。最も小さな単位の音楽のオブジェから曲の推移のプロセスに至るまで、そうした波紋を意識して制作を行っている。

初演 : 2013年10月18日, 19時開演, パリ国立高等音楽院作曲科修了演奏会
@パリ国立高等音楽院サル・ダール・リリック、19区, パリ

指揮:ジャン=フィリップ・ヴュルツ 
演奏 : パリ音楽院卒業生オーケストラ

*2015年度デステロス作曲コンクールにて佳作(1位無し3位)を受賞

風露 – 風配

フルート、クラリネット、ピアノ、打楽器、弦楽三重奏のための (2015年版) 10分

初演日時: 2015年2月7日20時 「ルガール・ミュルチプル」

場所: スタジオ・ルガール・ド・シーニュ、パリ、フランス

210 Rue de Belleville, 75020 Paris, France.

演奏: アンサンブル・ルガール

人間の知覚する時間は集中力の向け方によって変化し、また一部の自然現象に対しては限定的である。瞬きする間の現象を捉えることや惑星の生涯を捉えることは難しい。例えば葉脈を伝う露があったとして、我々はその移ろいに何を捉えるだろうか。ハイスピードカメラができるようにその動きを追うことは難しいだろう。だから想像してみる。葉の上を走る露がこぼれ落ちるまでの軌跡を。周りの景色が映り込む様子はどんなだろうか、露の大きさによって、葉に落ちた時の衝撃によって、流れる様子は変わるだろうか。露が落ちた後には静寂が訪れるだろう。葉のかすかな揺れを残して。この作品は葉上の露の命を、人間が知覚する時空間で想像して制作した。

「ルガール・ミュルチプル」プログラムノートより


フルート、オーボエ、打楽器、弦楽三重奏のための (2012年版)

(1-1-0-0 / 0-0-0-0 / 1 perc. / 1-1-1-0-0)

初演日時: 2012年9月27日20時

場所: KIWI文化舞台芸術センター、オーストリア・シュヴァッツ KULTUR- UND VERANSTALTUNGSZENTRUM KIWI, Dörferstr. 57, 6067 Absam

演奏: TIMFアンサンブル

委嘱 : クラングシュプーレン音楽祭、陳銀淑、TIMFアンサンブル

「ふとした自然現象を垣間みた時、例えばガラスに亀裂が走る様、投げられたボールが描く軌跡、そうした瞬間に芸術的なダイナミズムへの思考が始まる。」ある作曲家と瞬間への関心。そして経過する時間の力。パリに在住し、活動している松宮圭太 (1980年京都生まれ)は、現在、パリ国立高等音楽院にて作曲と指揮を学んでいる。「私の発想の多くは、共に仕事をする演奏家とのコミュニケーションから生まれる。各楽器の性質をなるだけ多く理解し、各楽器に内包される身振りを観察したいと思っている。また、そうした関心と作業自体が、自然の一瞬に対する自分の関心とも関連していると感じている。」

松宮圭太は、作曲家になろうと決心する前に日本で音楽学の研究をしていた。その後、サウンドインスタレーション、メディアアートの制作を行い、ダンサーや俳優などとプロジェクトを行った後、2008年、主にジェラール・ペソン、フレデリック・デュリユーらの元で作曲、電子音楽を学ぶべく、パリへと経つ。フランス、日本においていくつかの奨学金や賞を得ており、彼の作品はアジア、ヨーロッパの国際音楽祭にて演奏されている。

フルート、オーボエ、打楽器、弦楽三重奏のための本作品「風露 – 風配」において、松宮圭太はこう述べている。

「人間が知覚できる時間の単位は限られている。惑星の生涯に対しても限度があるように、瞬きほどの瞬間に対しても限度がある。例えばハイスピードカメラができるようには、一瞬を正確に捉えることはできない。葉っぱの上を走る露、その軌跡を目で追うことですら困難だ。だから、葉の上に露ができ、葉脈に沿って流れる様を想像してみる。周りの景色が映り込む様子はどんなだろうか、露の大きさによって、葉に落ちた時の衝撃によって、流れる様子は変わるだろうか。露が落ちた後、静寂が訪れるだろう、きっと葉のかすかな揺れが残こるだろう。この作品では、そうした一瞬のドラマに想いを馳せつつ、人間が感じられる時間の構築を試みた。音楽家達がそれを実際のものにしてくれるだろうと願っている。」

*プログラムノートより 原語ドイツ語

ダングルベール讃


クラヴサン・電子音響のための (2011)

初演 : ブルーノ・マルタン、サル・フルーレ、パリ国立高等音楽院、パリ、2011年3月
7分

『この曲に取りかかった時、クラヴサンという楽器に対してどういうアプローチが現代において取り得るだろうかと悩んだ。
まず、この楽器にはダンパーペダルが存在しないということ、従って残響の変化をコントロールする機能がないということを確認した。この物理的制限が、却って古典作品の創意に気づかせてくれることになった。
とりわけ目を引いたのが、バロック期のクラヴサン奏者・作曲家のジャン・アンリ・ダングルベールだった。彼は様々な装飾法を分類して作品の中で用いていた。彼の方法に触発され、装飾や音型を分類化するところから始めた。
次に、私の関心は調律法へと向いた。最終的には、中全音律とキルンベルガー調律(三番)を同時に用いることによって、微分音音程を含む新たな音階を獲得するというアイディアに至った。
電子音響部分は基本的に、楽器の特徴を移し替える作業によって作った。MAXパッチによって楽器音から再合成した音響やリズミックなフィギュアの模倣、そうしたものがベースになっている。
この作品では、楽器と電子音響の双方から生み出される動きが掛け合わさることによって、音楽が構築されている。』

* 初演演奏会プログラムノートより (原文: 仏語)

* この作品はフランス・ミュジークにおいて放送、紹介された。

いろは歌


ソプラノと十三弦箏のための (2011)

初演 : 盛田麻央 (ソプラノ), 日原史絵 (筝) パリ国立高等音楽院、パリ、2011年6月 6分

この作品は2011年の4月頃に書かれ、パリ国立高等音楽院の声楽科修了演奏会において発表された。歌詞には日本に伝わる伝統的な詩である「いろは歌」を用いた。

この詩では日本語に含まれる音節文字が各一回ずつ現われるという特徴を有しているが、歴史を経て生じた発音の仕方の変化により、少なくとも二種類の読み方ができるようになっている。 私はこの過去と現在との異なる発音を共に用いて、それぞれの音色間の行き来による変調、またそれらを繰り返すことによって生まれる律動的効果として用いることにした。また、この音楽的発想を展開する上で、フランス語のR、無声音といったさらに別の発音を用いるに至った。

日本の伝統的な楽器である筝 – 伽耶琴と共通する部分を持つ楽器 – のパートにおいては、伝統的な奏法とその身振りを調べ、それからインスピレーションを得ると共に、楽器奏者と直接話し合い、響体を叩く、弦の弾く位置を変える、といった奏法を考え、作中で用いている。

統営国際音楽祭プログラムノートより

(再演  ソプラノ : キム・ジヒュン、伽耶琴 : セヨン・パク、統営市民文化会館、慶尚南道、韓国、2012年3月)

放射状に割れた硝子


フルートとハープのための (2010) 
初演日時: 2010年9月12日13時-
演奏: 大久保彩子 (フルート)、松村衣里 (ハープ)
場所: 武生国際音楽祭、越前文化センター、武生

*武生作曲賞受賞作品
審査: 細川俊夫、マーク・アンドレ、望月京、伊藤弘之

パラ・ドクサ

弦楽十重奏のための (2009)
(0-0-0-0 / 0-0-0-0 / / 2-2-3-2-1)

初演:2009年3月27日 
作曲アトリエ@サル・フルーレ パリ国立高等音楽院

指揮: 阿部加奈子

演奏: パリ音楽院アンサンブル
ヴァイオリン;Sunmin An, Iréne Duval,Alberto Menchén-Cuenca, Cécile Tête
ヴィオラ;Natacha Dupuy-Scordamaglia,Mayeul Girard, Yuan-Jung Ngo
チェロ;Michaël Bialobroda,Noé Natorp
コントラバス;Tsui-Ju Li

ドクサ・ドグマ


弦楽三重奏のための (2009) 

初演日時: 2009年4月29日
場所: 舞曲のテーマによる三十の新作小品演奏会@サル・ドルグ、パリ国立高等音楽院、パリ
演奏家: フローリアン・ホルベ (ヴァイオリン)、グザヴィエ・ジャヌカン (ヴィオラ)、アルマンス・ケロ (Vlc) (チェロ)

* この作品はフランス・ミュジークにおいて放送、紹介された。

ディアロゴス

バリトンサックスのための (2010) 

初演: 2010年4月23日 音と映像の旅, ポルトガル・リスボン写真センター, ポルトガル
サックス:ヘルダー・アルヴェス

この作品はサックス奏者ヘルダー・アルヴェス氏の委嘱により2010年に制作し、リスボン写真センターで初演された。ギリシャ語のディアロゴス(dialogos)は『間』を意味するディア(dia)と『言葉』を意味するロゴス(logos)の複合語で、英語・フランス語のディアローグ(dialogue)と同じく『対話』を意味する。サクソフォーン独奏による《ディアロゴス》では、性格の異なるいくつかの発声や発話が立ち現れ、それぞれが徐々に変化しつつ対話が織りなされていく様を描いている。何もない空間から身振りと語りで人格を演じ分け物語を紡ぐ噺家のように、複数の発声や発話の間で対話を形成する独奏曲を描こうと思い制作した。