JSEM、日本電子音楽協会のウェブサイトで11月10日のアルスムジカ2015の『奇想曲』改定初演の紹介、デステロス、大駱駝艦、その他IRCAMからアンサンブル・ルガールまでこの数年の僕の活動にインタビューをして頂きました。川崎弘二先生どうもありがとうございました!
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大駱駝艦・壺中天公演『阿修羅』
鉾久奈緒美さん主演演出、大駱駝艦壺中天公演『阿修羅』にて音楽を担当しました。
2015年9月10日〜19日
大駱駝艦壺中天公演「阿修羅」 東京・吉祥寺@壺中天
監修:麿赤兒
振鋳・演出・美術:鉾久奈緒美
鋳態:鉾久奈緒美 藤本梓 梁鐘譽 伊藤おらん 齋門由奈
岡本彩 三田夕香 柏村さくら 谷口舞
音楽:松宮圭太 衣装:富永美夏 舞台監督:小田直哉 音響:松田篤史
照明:若羽幸平 宣伝写真:栗原かほり 宣伝美術:植田隆広
主催・制作:キャメルアーツ(株) 協力:シバイエンジン
曲目抜粋
Photo Copyright ©Kahori Kurihara
デステロス作曲コンクール
2015年度デステロス作曲コンクール(Destellos Composition Competition 2015)のミクスト作品部門にて拙作、室内オーケストラと電子音響のためのソリトンが佳作 (1位なし3位) を頂きました。
今となっては不十分と感じる部分もありますが、パリ国立高等音楽院作曲科在学の集大成として書いたこの作品に評価を頂いたことを、オーガナイザーのElsa Justel氏、審査員のPete Stollery, Panayiotis Kokoras, Ingrid Drese, Jens Hedman, Mario Maryの各位に感謝します。
フルート、クラリネット、打楽器、ピアノ、弦楽トリオのための「風露ー風配」
2月7日土曜日20時よりスタジオ・ルガール・ド・シーニュにてアンサンブル・ルガールの演奏会が行われ、僕の作品、アンサンブルのための「風露ー風配」が演奏されます。指揮のジュリアン・ベネト、河野彩さんはじめ7人の素晴らしい演奏家が演奏してくれます。他にはフレデリック・デュリユーの新作、フロラン・キャロンの新作、リヨネル・ボールの作品も演奏されます。是非来てください。
以下、作品の解説です。
人間の知覚する時間は集中力の向け方によって変化し、また一部の自然現象に対しては限定的である。瞬きする間の現象を捉えることや惑星の生涯を捉えることは難しい。例えば葉脈を伝う露があったとして、我々はその移ろいに何を捉えるだろうか。ハイスピードカメラができるようにその動きを追うことは難しいだろう。だから想像してみる。葉の上を走る露がこぼれ落ちるまでの軌跡を。周りの景色が映り込む様子はどんなだろうか、露の大きさによって、葉に落ちた時の衝撃によって、流れる様子は変わるだろうか。露が落ちた後には静寂が訪れるだろう。葉のかすかな揺れを残して。この作品は葉上の露の命を、人間が知覚する時空間で想像して制作した。
「風露–風配」
フルート、クラリネット、ピアノ、打楽器、弦楽三重奏のための (2015年版) 10分
初演日時: 2015年2月7日20時 「ルガール・ミュルチプル」
場所: スタジオ・ルガール・ド・シーニュ、パリ、フランス
210 Rue de Belleville, 75020 Paris, France.
演奏: アンサンブル・ルガール
指揮 : ジュリアン・ベネト
フルート : アメリ・フェイル
クラリネット : ジュリエット・アダム
ピアノ : マリア=パズ・サンティバネズ
ヴァイオリン : 河野彩
ヴィオラ : エロディ・ゴーデ
チェロ : ミルティーユ・ヘッツェル
残席少ないですが、予約はこちらから
ファゴットとギターのための「デヴィアシオン」
1月17日土曜日15時より青山記念音楽館にて中川日出鷹君のファゴットリサイタルが行われ、僕の新作、ファゴットとギターのためのデヴィアシオンが初演されます。5つの小品から成る組曲で18分という、長くかつ大変難しい曲ですが、中川君と山田岳さんというスーパーな演奏家二人に初演して頂けるのが幸せです。
バロック音楽にヒントを得て制作した組曲、ファゴットとギターによる掛け合いを二人の素晴らしい生演奏で感じて頂ければ嬉しく思います。他にもフランスの作曲家によるレパートリーでファゴットの魅力が盛り沢山の演奏会です。皆様、土曜日午後は京都バロックザールへ是非お運び下さい!
以下、作品の解説です。
タイトルのフランス語のデヴィアシオンという言葉は、日本語の迂回という言葉に近く、何かを経由しながら目的に達するような発想のもの、たとえばバイパス道路のことを指したり、格闘技のかけ技(コンボ)やチェスの威嚇の一手、または倒錯的趣味といった意味合いを含んでいます。
ファゴットとギターという、ありそうでなかなか無い組み合わせのデュオですが、本作品は前奏曲、ガヴォット、メヌエット、間奏曲、テクノの5つの小品から成ります。核となる素材が前奏曲と間奏曲において水平的な移ろいによって提示され、両曲の対となるガヴォットとメヌエットにおいて垂直的、回帰的パルスによって展開されています。双方の性格を集約させる終曲として、本来はトッカータが置かれる所に、現代の舞曲であるテクノを置いています。
(公財)青山財団助成公演
中川日出鷹ファゴット・リサイタル
開催日時:2015年 1月17日(土)15:00開演(14:30開場)
会場 : 青山音楽記念館・バロックザール
〒615-8282 京都市西京区松尾大利町9-1
演奏 :
中川日出鷹(ファゴット)
山田 岳(ギター)
法貴彩子(ピアノ)
演奏曲目 :
シャルル・ケクラン : ファゴット・ソナタ Op.71
トリスタン・ミュライユ : トランサハラ・エクスプレス
坂田直樹 : アンテナ
松宮圭太 : デヴィアシオン(ファゴットとギターのための)
ジェラール・グリゼー : アヌビスとヌー(コントラファゴット版)
チケット予約はこちら : http://www.barocksaal.com/concert_schedule/concert20150117.html
ラ・ポルト・ウーヴェルト
2014年9月20日、文化遺産の日にパリのビエット教会でアンサンブル・ルガールとmusique et poésieの共同主催によるイベントが行われました。詩人と作曲家がタッグを組んで新作を作る、コラボレーションを意図した企画です。僕は二人の詩人から朗読を録音し、それを素材としたインスタレーションを展示しました。夜の演奏会では、同じアイディアから電子音響音楽のバージョン、「波立ち」を発表しました。
RME Babyfaceをスタンドアローン・モードでマイクプリアンプとして使う
RMEのBabyfaceをPCにもipadにも繋がずに、スタンドアローン・モードで高音質のマイクプリアンプとして用いる方法を紹介します。僕が行った作業は以下のとおりです。
1. まずはPCにBabyfaceを繋げた状態でファームウェアを2.0以上にアップデートしておきます。 http://www.synthax.jp/drivers.html
2. line outの1と2 (XLR)からパワードスピーカー等に繋ぎます。スピーカー側の電源はまだ切っておきましょう。
3. PCからusbケーブルを外し、iphone等のusb/DCコネクタに差してACから直接電源を供給します。当方フランス在住なので電源タップの形状が違いますが、100V-240Vから5V、1Aに変換するAC/DCアダプタであれば日本でも世界中どこでも同じことです。
4. 1本のオプティカルケーブルでBabyfaceのoptical in とoutをループするように繋ぎます。黒色が入力、灰色が出力です。
Toslinkの角型ケーブルを使います。
これでbabyfaceのADコンバータ、DAコンバータの両機能がリンクされ、デジタルを介したline in / outの回路ができました。
次に、ADサンプリング周波数を設定します。
5. Selectボタンでoutを選択し、丸いボタンを長押しすると、左メーターの緑LEDが常燈します。
丸いボタンを一度離し、時計回りに回して、下から数えて7番目のLEDを選択すると、サンプリング周波数を192kHzに設定できます。もう一度丸いボタンを押して決定します。
ADサンプリング周波数と緑LEDの対応関係は、1番下のランプを1とすると、
7: 192 kHz
6: 176.4 kHz
5: 96 kHz
4: 88.2 kHz
3: 48 kHz
2: 44.1 kHz
1: AutoSync
このように配置されており、好みでレートをスイッチできます。今回のようにマイクプリアンプとして使う場合、出力も入力もBabyfaceで完結しているので、最大レートの192 kHzで問題ありません。結線がループしているので、ADサンプリングを決定するとDAサンプリング周波数はsyncで自動的に設定されます。
次に、上記のOptical接続を、マルチチャンネルのAdatではなく、ステレオのSPDF信号として認識させます。
6. Selectでphoneを選択した状態から丸ボタンを長押しし、左ではなく右のメーターが急上昇するのが確認できればOKです。左が上昇した場合、もう一度長押しすれば、今度は右のメーターが上がるはずです。
以上で内部の回路が準備出来たので、コンデンサマイクを接続します。写真はRoadのNT5が2本です。もちろん一本のマイクだけ使うこともできます。
7. マイクをステレオで使う場合、Selectでinを選択し、丸いボタンを3回クリックします。そうすると、左右の両メーターに緑LEDが点滅し、line inの1、2チャンネルが選択されます。モノラルの場合は1回クリックで左のメーターだけが点滅します。
メーターが点滅、選択された状態で丸いボタンを長押しすると、選択したチャンネルのメーターの根本にオレンジ色の光が付きます。これでファンタムがオンになりました。再び短く丸いボタンを押すと、line in の設定が完了します。(ファンタムをオフにする際はチャンネルを選択し、オレンジ色の光が消えるまで長押しします。)
これで、コンデンサマイクと、ファンタム・オン状態のマイクプリアンプと化したBabyfaceの準備が整いました。スピーカーの電源を入れ、selectでoutを選択し、丸ボタンを回して出力ボリュームを調整しながら、コンデンサマイクの集音状況をモニタし、動作チェックして下さい。勿論、line outとは別にヘッドフォンで音をモニタリングすることもできます。作業を終了する際には、まずファンタムを切ってスピーカーを落とした上で、Babyfaceのusb電源を抜きましょう。電源が落ちるとデジタルの回路設定(5、6で行ったステップ)が自動で保存されるので、同じ目的で次にスタンドアローンで立ち上げた際に、再度設定する必要はありません。
また、フィールドレコーダーと共に屋外録音用途のポータブル・マイクプリアンプとしてBabyfaceを使用する場合、cheero Power Plus 2などの大容量モバイルバッテリーに接続して動作できるようです。5V1Aの電流が必要なため、バッテリーによってはUSBのY字ケーブルで電流を増強する必要があるようですが、スタンドアローン・モードではファンタム・オン状態で上手く動作しているようです。
参考: http://www.rme-audio.de/forum/viewtopic.php?id=17718
次回はその辺についてもう少し触れられればと思います。以上、RMEのBabyfaceをPCにもipadにも繋がずに、スタンドアローンモードでマイクプリアンプとして使う方法でした!
謡いと十三弦箏のための「いろは唄」レコーディング
本日、拙作の謡いと箏のための「いろは唄」の録音がありました。演奏はパリと東京を行き来される邦楽演奏家の日原史絵さんで、録音は2014年夏にフランスのAir Mail Musicレーベルよりリリース予定です。
本作品のオリジナルは声楽家の盛田麻央さんのために書き、パリ国立高等音楽院の声楽修了演奏会で盛田さんと日原さんによって初演されたソプラノと箏のための作品で、その後、韓国の統営国際音楽祭など世界各地で再演されていますが、今回の録音は、日原さんのために箏弾き歌いのために編曲したバージョンで、こちらは日原さんによってトーキョーワンダーサイトなどで演奏されています。
場所はパリ9区のとある地下カーブ(貯蔵庫)を改造して作られたプライベートスタジオ。完全防音ではないため、地上の騒音が少ない深夜に集まっての録音でした。
深夜とはいえメトロの鈍い振動が時々響いてきましたが、録音技師のシャルルさんによると、これぐらいならローカット対応で全く問題ないとのこと。
シャルルさんは御年70歳で、かれこれ40年以上、世界を旅して民族音楽を録音、収集して来られた大ベテランです。ヘッドホンはAKGのK501を使っておられました。
彼が他にどんな機材を使っているのかチェックさせて頂きました。
録音機は僕も何かとお世話になっているSony PCM D-50
マイクプリは20年来使っているというフランスのE.A.A. PSP-2
マイクはSennheiser MKH 40-P48が2本。アマゾンの奥地でも使ったらしいです。
コンパクト、ポータブルながら拘りを感じる機材セレクトでした。
同じく自作品の録音のために駆けつけられた山本和智さんは、直接日本からの参加でした。
先月東京の本番であまりお話できなかったので、パリで邂逅。
録音後の記念撮影。